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マドリッドの春の雨 (角川文庫)
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春、娘が高校を卒業したので、母親と娘はスペインの旅行をした。母親と娘が起きてから眠るまで、片ときも離れず一緒にいるのは娘が生まれてからはじめてといってよかった。母親は仕事と恋愛にかまけていて、娘のことを忘れがちに暮して来た。娘に初潮が訪れた時を母親は知らない。雨にふりこめられたマドリッドのホテルで、母親ははじめて娘の裸身を見た。弱々しいなりに描いている下腹部のカーブの果に、太い陰毛が密生して萌えたつように盛り上がっている。母親は息を呑んだ。未熟な娘の身体の中でそこだけが燃えていた。娘は未来に向かって輝やいていた。母親は老いを感じた。
小説・エッセイ > 日本の小説 > 著者名・さ行 文庫 > 小説・エッセイ
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