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ドイツ国民に告ぐ (西洋の教育思想)
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フィヒテは本書で痛切な現状認識から始め、現在が自己の理念を実現するのに不可能な状況にあることを率直に認めている。そして彼は次世代の世界に希望の眼を向ける。教育問題こそ彼がここで訴えようとする主題である。彼はここで抽象的で空虚な道徳教育論を述べているのではなく、自己の理念の実現可能な方策を具体的に、ペスタロッチの教育論とその実践を学びながら、独自な形で述べている。時代状況の差違は、今日の我々にとって、ここで述べられている内容の多くを無効にしていることは認めなければなるまい。しかし教育問題について今日の我々が等閑視している重大な側面をフィヒテが鋭く指摘していることも間違いのない事実である。なんの理想も理念ももたず、ただ知識、技術の獲得に照準している学校教育の現状を省みるとき、フィヒテの訴えはいかに深く心に迫ってくることか。さらに本書は真に祖国を愛するとはどういうことか、という問題にも深い示唆を与えてくれる。フィヒテは祖国ドイツの特有性を、たんなる偏狭な民族主義的熱狂からではなく、広い歴史的知見と、とくに言語に関する深い洞察を基にして論じている。このことは、時代と国を異にする今日の我々日本人にとっても重要な教示になると思われる。
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