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ニーチェ全集(7) (ちくま学芸文庫)
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〈私の父は三十六歳で死んだ。彼の生命が下り坂となったのとおなじ年に、私の生命もまた下り坂となった。私はまだ生きてはいたが、三歩前も見えなかった〉。激しい発作と苦痛に襲われた1879年、ニーチェはバーゼル大学の教授職を捨てて、生涯最も日の差さぬ暗欝な冬を影として過ごした。翌年、憂愁と沈痛に満ちた思索の森の深奥にも一条の曙光が射しこみ、ニーチェは再び自己の思想の視野を回復しはじめる。『曙光』は厭世的・批判的分析が大半を占めるが、午前の新しい光が注がれた最終章「第五書」の穏やかな肯定への意志に彩られた全体の調子は、やがて来たるべき正午の思索への予感と予兆を指し示している。
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