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無伴奏
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「…殺してしまった」という父の呟き。疑いもしなかった、母の人生。そこに、父がいた。父は眠っていた。私の記憶にある父の顔ではなかった。痩せ細り、肌はかさついている。髪は乱雑に刈られ、髭もまばらに剃られていた。口をわずかに開き、寝息を立てていた。職業柄、見慣れている姿のはずだった。毎日同じような老人を何人も相手にし、世話をしているのだから。なのに今、私はひどく動揺していたー。父危篤の急報を受け、二十数年ぶりに実家に戻った阿南は、予想もしなかった両親の謎に直面することになる。十三年ぶりに描かれた阿南シリーズの新作にして、現時点における著者の最高傑作。
小説・エッセイ > ミステリー・サスペンス 小説・エッセイ > 日本の小説 > 著者名・あ行
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