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キャンディを撮った日
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フランスへいってしまってもう何年にもなる女性から、ある日、封書が届いた。手紙とともに小さなボール紙の箱が同封してあった。チューインガムの空き箱だ。「私がしばらくバッグのなかに入れて持ち歩き、すべて噛んでしまったガムの箱です」と、彼女は書いていた。縦、横、厚さのバランス、そして開口部の作りなど、よく観察すると魅力に満ちていた。観察するだけの興味が持てなければ、捨てるほかない用済みの箱だ。色づかいやデザインは、大衆のために街角で販売されている小さな商品としてのありかたを、ごく当然のことのように守ったデザインだ。僕はその空き箱を気にいった。冬の快晴の午前中だった。僕はその小さな空き箱を写真に撮ることを思いついた。-ある作家の冬の一日の過ごしかた。
写真集・タレント > その他
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