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惜 (百年文庫 97)
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大雪の積もった朝、写生旅行に出た洋画家・島木は、ただならぬ画境の深まりを見せる旧友のことが頭から離れない。遺作に刻まれた芸術家の魂(宇野浩二『枯木のある風景』)。月影の夜、病んだ友人は横笛を鳴らす。横浜外国人居留地で「私」が看取ったインド人との思い出(松永延造『ラ氏の笛』)。五年前、交通事故で世を去った三男の、あどけない顔が今も目に浮かぶー。十九年の生涯に手向けられた父の心(洲之内徹『赤まんま忌』)。敬愛と慈しみにみちた、それぞれの惜別。
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