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闇の奥へ(上) (扶桑社ミステリー)
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SIS長官ケネス・オーブリーは二年ほど前からKGB副議長カプースティンとヨーロッパ各地で秘密裡に接触を重ねていた。カプースティンから亡命の希望がよせられ、二人はその条件や手はずを話し合っていたのだ。接触は組織を離れた個人的なもので、カプースティンはつねに独り、オーブリーのほうも工作員のハイドを随行させただけだった。ところが、話も煮詰まった冬のウィーンでの接触で、KGBの副議長は不意に亡命の意志を翻した。その直後、オーブリーはソ連のスパイとしてバビントン率いるM15に逮捕されてしまう。〈涙のしずく〉というコードネームを持つソ連のスパイである、というのが彼に着せられた容疑だった。あやういところで、逮捕をまぬがれた部下のハイドは、敵味方の両組織から命をねらわれながら、オーブリー逮捕の手懸りを求め、救出にのりだした。
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