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真夏の恋の物語
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サマー・シズラー’91
まじめで堅実な生活を送る公認会計士レベッカは、親代わりだった謹厳な伯母の死をきっかけに、仕事も家も捨ててヨーロッパに出かける。お金の続くかぎり、なにもかもファーストクラスの旅。ギリシアの高級リゾート、コルフ島のホテルのレストランで、シャンパンを贈ってきた男性に、レベッカはひとり旅に慣れた洗練された女を装ってしまう。その男ステファノスは、実は大富豪だったが、大胆でいて純真な彼女に当惑しつつ、ギリシア案内をかってでる(「アテネに恋して」)。生まれてから二十六年間、キャリンは旅行というものをしたことがなかった。妹思いの過保護な六人の兄たちが、サンフランシスコから出してくれないのだ。でも、今年の夏こそ出かけるわ。夢に見たバカンスをハワイで実現するのよ。ところが愛車が故障して、ハワイ行きの費用はそっくり車にまわってしまう。落ちこむキャリンに、たくましいカーディーラー、ブラッドが声をかけてきた。「それなら、ぼくと一緒にこのサンフランシスコでバカンスを楽しまないか?」(「サンフランシスコ物語」)。青と緑の綾なす宝石のようなカリブ海はすばらしい。大型帆船のデッキに立って、ケイトは船旅に来てよかったと思った。数日前まで、デトロイトで証券管理の仕事に狂奔していた自分が嘘みたいだ。勉強しようと持ってきた経済学の本を押しやり、スケッチブックに手を伸ばす。画家になることは、小さいときからの夢だった。まわりには絵にしたいものがありすぎる。美しい船、異国の人々、そしてハンサムな船長ジャック。彼はまっ先にケイトの名前を覚えてくれたが…(「カリブの夢」)。
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