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カテナ・アウレア マタイ福音書註解(上) (知泉学術叢書 23)
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「カテナ・アウレア」(黄金の鎖)は正式には『四福音書連続註解』と言う。四福音書全体にわたり、トマスがラテン教父(22名)とギリシア教父(57名)ら79名の教父のテキストから引用した文章をもとにした集大成である。膨大な文献と知恵の一大パノラマである本書は、キリスト教の精神のみならずヨーロッパの生活と文化を考えるうえでも、他に類を見ない第一級の資料である。トマスのギリシア教父に対する知見の革新性、註解の量と質の高さにより当代の聖書解釈者や神学者、説教者にとっての宝庫とされ、カトリックの教義形成にも多大な影響を与えてきた。セクションごとに、冒頭では話の筋がどういうものかを述べ、次に聖句の節を追いながら文学的・歴史的な意味が説明される。そして末尾ではヒラリウスやグレゴリウスなどが教える霊的意味が示される。トマスは実証神学について鋭敏な感覚を備えていたので、典拠に対し忠実に向き合い、全体のテキストを統一的に捉え見事に註解した。わが国で本書はほとんど知られていないが、旧来のスコラ学者トマスのイメージを一新する画期的な作品である。
人文・思想・社会 > 宗教・倫理 > キリスト教
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